眠れない夜と夜の狭間で、ああ、花粉症! オーストリアからのメール↑ 運転免許証書換えの顛末(その一)
-------------------------------------------------------------------- 近所は静かで落ち着いたものだった。 いつもの聞き慣れた音、通勤用の自家用車がエンジンを吹かしながら出発しようとする、例の音もなかった。 聞えてくるのは小鳥の鳴き声だけ。 日本では都会(川崎、多摩川を越えた住宅街)に住んでいたし、小鳥の鳴き声を聞くなどということなどは殆ど体験しなかった。騒音が余りにも多過ぎた。雀が時たまベランダにちょっとやって来てチョチョっと鳴いては直ぐに飛び立って行くのを見たことがあるが、感銘を受けるということでもなかった。 オーストリアに来て小鳥の存在を初めて知った。そう言っても過言ではな い。よくよく見ると種類も違う。黒い、まるでカラスみたいだ、でも違う。 小柄だ。名前も知らない。お互い様。わたしもはじめてオーストリアに住むようになったのだから。 「日本にだって小鳥はたくさんいますよ、森に、山に、田舎に行けば沢山いますよ、ご存じないのですか?」と指摘されるかもしれない。 わたしは森に、山に、田舎に行ったことなど殆ど――なかった。そんな環境に住むようなこともなかった。縁が――なかった、と言えようか。 もう一度、書こう。当地、外国、オーストリアにやって来て、日常生活の中での小鳥の存在を身近に知った次第だった。 オーストリアは田舎か? ある意味では田舎と言えるかもしれない。森有り、山有り、田舎有りだ。つまり自然が一杯! と言っても良い。 序ながら書いてしまうと、西洋人、例えば英国人の書いた物を読むと良く鳥のことやら、バードウオッチングとやらのことについて結構詳しく綴られていて、そういう箇所を読む度にその内容と自分とが一体化できないでいる のであった。同じような体験をすることで改めて読んでみると話の流れについて行ける自分を発見した。 -------------------------------------------------------------------- ■ オーストリアの小鳥たちの喜びよう -------------------------------------------------------------------- 祝日つまり休日だということでか、忙しげな活動がはたと止まっている。 隣近所、大声で話している声も聞えてこない。騒音がない。喜ばしいことだ。 やはり休日は休日であって、全ては休むのが本筋だろう。オーストリアの小鳥たちがお互いに会話を交わしているのが良く聞こえるだけ。言わばオース トリア風ドイツ語で喋っているのだろうが、小鳥語のようでよく分からない。雰囲気としてはこんな風だろうか。 「ねえ、ようやく5月、春になったのね」
ところが、日曜日や祝日になると新聞は来ない。拍子抜け。最初、不思議 で仕方なかった。新聞配達人が新聞を配達するのを忘れてしまったのではなかろうか、と電話を入れたことがあった。が、何度掛け直しても繋がらなかった、文字通り電話には誰も“出んわ”であった。諦めた。当時のわたし、 ドイツ語の電話会話が自信を持って出来るという訳でもなかったので、「電話に出んわ」で良かったのかも知れない。 何十年と日本での習慣に慣れてしまった結果なのだろうが、当地に来てもそんな感覚が身に付いたまま暫くは抜けず、朝が定期的にやって来るが如く、曜日、休日に関係なく新聞を期待していた。 ------------------------------------------------------------------- ■ 休日は休日???? ------------------------------------------------------------------- オーストリアはキリスト教国。詳しくは知らないが、人口の85%以上程か、カトリック教徒とか。カトリックの教えに基づいて、日曜日は安息日、安息・休息しなければならない。そういう伝統が広く今日まで続いているらしい。 だから新聞社も新聞を印刷してはいけない、印刷されない新聞は配達もされない。読むことも出来ない、ということになるか。 一度、日曜でもない祝日でもないのに、新聞が配達されて来なかった。早々、我奥さん、電話を入れた。
「いつ配達してもえるのですか?」
く良く調べたら5月29日が今年はその日に該当していた。毎年、日日が変わるらしい。キリストが天に昇る、昇天する日が毎年違っているらしい。
Linz,16. Mai 2003 |