日本一周ひとり旅↑  日本一周の旅、初日夜、就寝に一苦労                                         

 

 

北海道へと行こう

 

初めてのヒッチハイクの試み。

 

 

第一日 その一

19xx年8月6日(日)快晴

綾瀬「神奈川県」→ 郡山「福島県」


日本一周へと出発!

朝が明けた。出発の、朝だ

今日も暑くなりそう。

自宅を出た 、、、、、

バス路線道路に沿って、まずは国道246号線が走っている所まで歩いて行くのだ。

後戻りは出来ない、もう出発してしまった。黙々と歩きながら、これから日本一周を完遂するであろう自分に向かって言い聞かせ続けていた。やり遂げるのだ!




 
国道にやっと辿り着いた。

腕時計で確認した。家を出てから、リュックサックを背負ったまま、約40分歩き続けたことになる。もう前進するのみ。

 

道路沿い、東京方面へと車が走って行く側に立つ。

深呼吸。

最初の国道にようやく姿を現したのではあったが、そのまま沿道を暫くは歩き続けていた。車が脇を結構頻繁に通過して行く。

太陽が照り付け来ているのが感じられる。

先ずは落ち着くことだ。慌てることも急ぐこともない。何台かの車が既に脇を通過して行った。

背中のリュックサックが重く感じられる。汗も掻き始めている。少々緊張している。

一体全体、上手く行くものだろうか? はじめてのことだし・・、少々不安が先立つ。

そろそろ始めても良いのではないだろうか?  自分に黙った語り掛けている。

国道沿いを相変わらず歩き続けている。

決心がつかない。
 

まだ、つかない。

「早く、やったらどうなのか!?  早く、やってしまえ!!」 ---- 別の自分が躊躇うもう一人の自分に向って嗾けてきた。

「おい、沿道をどこまで歩いて行く積りなのか?」

「それは分かってるよ、、、、」

「早く飛び込め! 早くやれったら! 」

相変わらず、逡巡している。

決意した。

自分を追い込んだ。

目をつぶったまま、飛行機から飛び出るときの心境、、、とでも言えようか、 もっともパラシュートがあるから大丈夫だろう、、、といった安心感もあるだろう、、


●ヒッチハイク敢行!

立ち止まった。

後ろに振り向いた。

こちらへと向かって来る車の運転手さんに手を挙げてヒッチのサインを送るのだ。笑顔で、そう、その際、笑顔を忘れては行けない。ちょっと笑顔の練習、でも口元が強ばっている。

生れて初めての試み、心臓の鼓動が中国の銅鑼のように、ジャン、ジャンと連続的に鳴り響いている。 この耳にも聞こえるようだ。

話には聞いている、噂も聞いている。でも実際はどうなのか?

「さあ、早くやっちまえ!」

車が一台通過してゆく。そこに立ち止まったまま、見送った。  

次に来る車を・・・・自分に確認させる・・・絶対に、やる、と。

暫しの暇が空く。

 やって来る・・・・・・・・

     やって来る!

         やって来る!!

       
 やって来た!
 

これ、これにしよう。

「そうだ、やれ! 」

さっとサインを出した。あとはもうどうにでもなれだ。天を運に任せて、 いや、間違えた、運を天に任せて・・・・・・、自分を諦めた。正に清水の舞台から飛び降りた心境か。

運転手さんは勿論、リュックサックを背負った姿を、ぼくのヒッチのサインを見た筈だ。車はぼくの横をそのまま通過して行こうとするのか、どうなのか。まあ、どっちでも良い。

今、車は正にぼくの目の前を通過して行こうとする。

おお、ブレーキが掛かった。ゆっくりと・・・・・なった。止まるのか?

 

止まった! 

ちょっと予想していなかったが、止まった。

トラックが、大型トラックが停まってくれた。ぼくの為に止まってくれた。 進行方向、前方で車が停止した時、心がワクワクしてしまった。
心臓が口の中から飛び出してきそうだった。

本当に止まるのだ。真理だ。成功だ。

この興奮が隠し切れないと言った風に背中の重いリュックサックを 左右にゆさゆさと飛び躍らせながら、小走りに勇んでトラックの所まで飛んで行く。

「東京まで行きたいのですが、乗せてくれませんか?」と少々勢い込んでいるぼく。

「ああ、いいよ」

トラックのドアに手を伸ばして自分で開け、少々高すぎるのではなかろうかといった 感想を持ちながらも、 その踏み台に片足を掛け、リュックサックを背負ったまま、ひょいと飛び上がるようにして、運転台へと乗り込む。

今、正にヒッチした車に乗ろうとしている、踏み台へと高く上げた片足を意識した。と同時に何ともまだ現実離れしたような心持でもあった。断られる前に早く乗り込んでしまおう。そんな思いでもあった。まだ、本当に信じられない。そんな心境であった。

てっきり東京まで親切にも乗せて行って呉れるものと思っていたら、そうではなかった。東京方面へと行く途中まで、であった。

「東京まで!」に、「ああ、いいよ」と言うものだから、東京まで乗って行ける! と文字通り思い込んでしまったぼくの方が甘かったと反省させられた。まだ始まったばかりだ、一台目、これから色々と経験を積んで行くのだ。

 

二台目、三台目と

2台目は牛乳運搬車であった。川崎まで行った。

「これから日本一周をするんですよ、今日、出発したんです。今、たった今、出発したばかりなんですよ」

自分が今やっていることに興奮を覚えて、じっとしていられない自分を抑制出来ないといった風であった。運転手さんの方は、しかし、落ち着いたもの。

車に乗せて頂いたことに対して感謝の気持ちを伝えようと、そんな積りで、自分の方から何をしているのか、何をしようとしているのか、自分から積極的に話し掛けているのであった。べらべらと夢中になって話すことで相手だけでなく自分をも安心させようとしていた。

自分は何者か、

これから何をして行かなければならないのか、  

自分自身に向かって確認しているのでもあった。

朝食をまだ取っていないと言ったら、朝食代わりか、冷えた牛乳二本、飲ませて呉れた。

どういう車が遠くの方まで行くのか、色々と教えてくれた。が、ぼくは「ああ、そうですか」とまだ確信のない相槌を打っているだけであった。まだ、実感が湧かない。

ヒッチハイクの旅は今、始まったばかり。まだ地が足に、いや間違えた、足が地にちゃんと付いていないと言った感覚。車から降りる時、運転手さんは背後から「気をつけて!」と言ってくれた。嬉しかった。

そう、今、正に、日本一周の、ひとり旅がとうとう始まったのだ。日本全国、各地で何が待ち受けているものやら。

車に乗せて貰える。本当にそうなのだ。分かった。しかも無料だ。乗せる人と乗せてもらえる人との間、お互いに無言の了解が言わば成立しているのだ。そうと分って、気が楽になった。ようやく緊張が解けたようだった。

下車してからはずっと歩き続けた。歩いた。歩いた。歩くことも必要なのだ。

汗が出て来る、出て来るわ。それに背中のリュック荷物がやけに重い。本当に重い。両肩が痛む。腰にも負担を感じる。

我が足にもエンジンが掛かったし、旅は今、正に現在進行形、どんどんと先へ進んで行くことが当然ながら求められている。車に乗れない時には歩くことも吝かでないといった姿勢も求められているのだ。

沿道を歩きながら、ヒッチハイクの感覚とでも言うのか、要領とでもいうのか、段段と調子が出て来たようだ。ヒッチハイクについて自信みたいなものが湧いてきた。

4番目の車。交差点で信号待ち、一時停車中の車、自分の方から近寄って、 思い切り頼んだ。

「すいません!乗せて下さい!」

快諾してくれた。リュックサックを背負った姿を見て、何をやっているのかは分るのだろう。浦和まで行くのだそうだ。途中、何処かに寄って一人乗せ、その後東京都内を通過して浦和までやって来る。

下車した後、手元の地図を見たら、自分がこうだと予定していたコースから随分とかけ離れたところに来てしまっていた。
                                                                       

 

日本の夏、やはり暑い。

先ずは、浦和駅まで歩いて行こう、そこで一休みしよう。呼吸を整え気持ちを落ち着かせて再出発としよう。

そう自分に言い聞かせながら歩き続けていたが、暑いこと、暑いこと。日本の夏は暑い! 暑い!暑い

汗が顔面から噴き出てくる、滝のように、いや、川のように、いや滝のように垂れ流れっ放しだ。拭おうとはしない。

途中、行きずりのおばさんに駅までの道を聞いた。

「青森まで自転車で行くという人に、つい先日会ったよ!」

嬉しそうだ。

汗を掻いたぼくの顔をしげしげと見ている。

「冷たいものあげようか?」 親切にも言ってくれた。

「汗がますます出て来るから・・・・」と断ってしまった。

どうにかこうにかして漸くヒッチ出来た車だった。この運転手さんの話によると、ちょっと冷やかしの積もりだったようだ。

「あの男(ぼくのこと!)、前の方で手を挙げてサインを送っているのか、それとも多分、頭でも掻いているのであろうか?」

そう思った、そうだ。それでも、おやおやと思いながらも気が付いて見たら、止まってしまっていた! と。

まあ、止まる理由などはこの際、どうでもいいや。乗せて貰えて、少しでも前進出来れば、良いのだから。

 

効率的に北海道へと、北上したい

一応これからのコースが頭の中に描かれている。まずは東北地方を北上、寄り道はしない。出来るだけ早く北海道へと渡ってしまう。

東北地方を北上する。地図を見ると、国道6号線を利用して行こうという気持ちが強かった。

初めてのこと、地図を見ながら色々と考えを巡らす。如何にしたら国道6号線へと出て行くことが出来るか?

最短距離を取るにはどこを通って行けば良いのか? 目下の緊急課題だった。

越谷(コシガヤ)方面へと進路を取ることに決めた。しかし、心に決めた通りに車が走っては行かない。車自体の意思が別にあるみたいだ。そこへは行かずに岩槻(イワツキ)へと行ってしまった。

午前10時7分、別の駅前にやって来ていた。本日、三度目の再出発を企てる。岩槻の駅前に一人 、自称俄かヒッチハイカーが重いリュックを背負ったまま立った。国道6号線へと出たい。でも、これでは随分と遠回り、仕方なしに、またも自分の足で当該の方角、方向へと向って歩き始める。

黙々と歩き続けていた。やっと捕まえた車。大人一人、幼児一人。春日部(カスカベ)までの国道4号線へと走って行く。便乗中、国道6号線への近道などを色々と聞くと、案の定、遠回りとのこと。しかし、今はここに来てしまっている。野田(ノダ)への近道を教えてくれた。

気を取り直して、また歩く。

ダンプカーをつかまえた。ちょうど野田方面へと行くところだった。が、それもちょっと先へ行って道を逸れただけのこと。

「福島の方へと行くのです」とぼく。

「それならば6号線へ出るよりも4号線で行った方が早いよ。6号線は日曜日のため、行楽客で一杯だが、4号線は空いているよ」

今まで来た方向とは逆の方向へと戻って行かねばならないという。何たる無駄足 !

また歩いて4号線へと出てくる。  

信号待ちしている冷凍車に頼んだ。乗せて貰った。結構長く乗り続けた。下車後、地名はもう覚えていないが、ある工場の扉の前にリュックを背負ったままその重さと腰の重さに任せてゆっくりと、ずり落ちるようにしてどっかりと腰を下ろす。休憩だ。

リュックを肩から外し、中からは緊急食料の、マグロの缶詰を底の方から手探りで取り出し、その蓋を開け、中身をスプーンで掬いながら口へと何度も運んだ。エネルギー補給の腹ごしらえ。口直しにはクラッカー3、4枚を口に運んだ。飲料類は手元になかった。喉を潤すことは出来なかった。

簡単な休憩も終えてしまった。

さてと、また歩き出すとするか。

 

●昼食を奢って貰う

サービスステーションの前で捕まえた軽トラック、宮城まで帰るというではないか! 

宇都宮を過ぎた。運転手さん、矢板のドライブインで昼食を取るとおっしゃる。運転手さんの食事が終わるまで、運転手さんの車の中に一人で残っているのもおかしいと思い、ぼくも一緒について行く。自分も昼食を注文して自分の金で払う積りでいた。ところが、「いいよ、いいよ 、俺が払うから」と運転手さんからは冷中華を御馳走になる。しかもアイスクリームも! コーラも! 

やはり自分と同年輩の人に対しては気が楽だ。この青年も若い頃、この日本でヒッチハイクの旅をしたと言う。でも、何歳の若さの頃だろう? ぼくよりもそんなに若い時に? ご自分のヒッチハイクの経験を織り交ぜて、ヒッチハイクのコツといったものを色々と教えてくれた。

当時、ご自分もやはりお腹を空かしながら、旅を続け、そんな折、乗せて貰った運転手さんからご馳走して貰ったのだろう。

そんな体験が今、今度はその当時の返礼として、別の人(ぼくのこと!)にご馳走して上げるという機会が訪れたということで、奢って呉れたのだろう、そう考えた。 午後4時半、郡山の国道49号線への入り口で降りる。結局、この郡山(コオリヤマ)まで、この25歳の青年のお世話になった。

 

 

夕方が迫る

下車と同時に、回りの世界が変っていた。

ああ少し暗くなって来たなあ、とそんな気配を感じる。日中の暑く明るく長かったのが、もう直ぐ終わろうとしている。夕方が迫りつつある。

異郷での、空の下、知らぬ闇が迫って来ようとしている。

一日の仕事を終えてか、路上を走る車はどんどんとぼくの脇を通り過ぎて行く。真っ暗になってしまう前に家路を急ぐといった風だ。

どの車も脇目を振らず飛ばしている。止まりそうもない。ここ沿道にヒッチハイカーがいるのに 、と自分が思っていても、この自分の思いは伝わって行かない。申し合わせているかのように沿道の人物の存在は無視される。

そんな中、それでも申し訳なさそうに止まってくれたトラックがあった。乗車出来た! と、思ったら10分もしないうちに横道へと入ってしまった。ああ、そっちの方へと行きたいのではなく、、、あの〜、、、 下車せざるを得なかった。

見知らぬ土地に放っぽり出された。一人取り残されてしまった。回りには人影が無い。 ぼくの影だけ だ。

 

暗くなって来て、一日もこれで終わりを迎えつつある中、いつもの習慣のなせる業は恐ろしい!

ついつい我知らず、 ――― 家路を急がなければ、早く家に帰えらなければ、、、 といったような想念が一瞬過ぎり、何をおかしなことを考えているのか!  お前、気は確かか?! もう一人の正常心が変更訂正を促していた。

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