それはそうと、夕方になっても一向に鳴り止まない、構内でのスピーカーからの張りのあるアナウンス音
。列車発着のお知らせやら、迷子の親御さんを探すお知らせ等々、尤も親御さんが迷子になったという訳ではないだろう、それともそういうことなのか?
とにかく、色々なアナウンスは夕食の入っていない、この腹にビリビリと痛く響くし、アナウンスの音量に恰も負け
じと回りの人々の話し声も大きく絶え間なく、それらがまとまってこの耳に無理やりに侵入してくるし、テレビもつけっ放しなのか、時々人声が途切れた合間にその機械的なる音声が
「ここにはテレビもあるのだ、分かっているのか
!?」と言った風にその存在事実を思い出させてくれるが、その音声さえ人々の話し声で揉み消されてしまっている。テレビを見ている人などいるのだろうか。電気のムダ使いだ。音声のむだ使いでもある。
喧騒の中での就寝の試みと相成ってしまった。何時になったら寝入れるの
か。そんな質問をする方が野暮だ。
寝転がったまま目を閉じ、眠気が襲って来て、そのまま自然に寝入ってしまい、後はどうなろうと構わんといった夢の世界に入るのを待っていたのだが、肉体的にクタクタに疲れていたわけでもないし、寧ろ頭の方は最高に冴え渡っていた。寝袋を紐解いて、その中に頭まで入れて潜り込んだ。少しでも騒音から身を守ろうとした。
真夜中の午前2時頃、もう汽車の発着もなくなった、ようだ。
今までの禁が解かれたかの如く、待合室の中へと、男達、女達が怒涛の如く先を争うかのように、良い寝場所を確保しようとぼくの側にも押し寄せてきた。ぼくはまだ眠っていなかった。いや、うるさくて、うるさくて寝入れなかった。苦しんでいた。
寝る場所の選択を誤ってしまった
。そう分かっても今更新たな場所探しも億劫だし難儀でもあったので、そのまま寝転がっていた。これも旅での経験のひとつだ。ここではそう記しておこう。
朝も明けようとする時間帯になって、漸く静かになったようで、正味二時間程、睡眠が出来たと言えようか。
初めての“ステーションホテル”だった。
宿泊の感想? 居心地も寝心地も 最悪。
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