網走→ 岩尾別(知床半島 日本一周ひとり旅↑ 岩尾別→ 知床山中
「第24日」
19xx年8月30日(水)薄曇
岩尾別→ 羅臼岳登山→ 岩尾別
19xx年8月30日(水)薄曇
寝るだけのために行った場所、その小屋では文明の利器――
日常、その恩恵をつい忘れてしまっていることが多いのだが、これは発明家のトーマス・エディソンさんのお陰――昔懐かしい、ダイダイ色の何となくほの暖かさを醸し出す、傘を被った裸電灯が点いた。北海道の山深い所に来ているといった観がある。
■羅臼岳登山
さて、小屋での一泊後、本日の大事業が控えていた。
羅臼岳(1660m)登山だ。
昼食用のおにぎり弁当をナップサック(リュックサックではない、念の為)に入れ、両肩の荷も想像以上に軽く、今までの重いくびきから解放されたかのようで嬉しくなってしまう。
午前7時半、一人だけで出発。
午前8時5分、登山者名簿に自分の名前(他の人の名前を記入する人はいないだろう)を記入して、登山開始。
ひたすら
黙々と
一歩一歩
登り続ける。
午前10時半、羅臼平に漸く着いた。まだ頂上ではない。
ひどい風だ。油断していると本当に吹き飛ばされてしまいそう。
「風に吹かれて、
目を細めながら羅臼平に立つ男一人、
彼はそこで何を考えたか?」
ロマンチックに響くテーマ、しかし“一日”山男は云々している暇はなかった。だからここでも書くことはない。
風に吹かれたままでいると肌寒いから長袖のヤッケを着込んだが、それでも風の勢いは物凄い。
山の上、遮るものがないから当然なのだろうと普通の頭で解釈しながらも、よくよく考えてみれば自分自身が風を遮るものとなってしまっているのであった。
強風にもめげず、強風にも負けず、“一日”山男は頂上に向かって歩き出した。
頂上へと向かって、前にか、上にか、どう表現すれば良いのか、とにかく進めば進むほど風はますます強く、強烈。
本能的に岩場をよつんばになって登って行く。 そんなの格好悪いよ、などと気障っている暇もない。前にか、上にか、どうなのか。蟹のごとく両手両足で齧りつくようにしていなければ本当に、文字通り吹き飛ばされて行ってしまいそう。
30分後、漸くにして頂上に着いた。
ビュービューと対抗してくる風は激烈! 猛烈。
何かにひっ捉まっていないと山の上から何処かへと有無も言わさずにすっ飛ばされ、恰も無重力の空をぐるぐると舞に舞って、そのまま海の中へとザブン、いやドボンか、無慈悲にも投げ落とされられてしまいそう。まだ空中には舞っていなかったが、そんな空想の図が目に浮かんでくる。
強風のために目を細めていたが、それでも慣れてきた。
周囲360度を見回して頂上からの景色を捉えようとする。
あれは何だろう?
まるで巨大な軍艦のようだ。ゆっくりと静かにこちらに向かって近付いてくるような、、いや、違う、
どうも気が変わったのか、、やっぱりそうらしい、そうか、当局から許可が得られるまではそのままそこに停泊し続けているような、渋々留まっていなければならないような、そんな寂しいそうな、誰にも伝えることの出来ない思いを抱えたような島陰が見えている。
―― 国後島(クナシリトウ)?
この羅臼岳の頂上からは意図も簡単にひょっいと両手を伸ばせば届きそうな、そんな間近にあるではないか。そんな感覚を得た。
羅臼岳の頂上にはその時、男達だけが四人、そこには実物の熊さんだと見間違えてしまった関西からのあの人も一緒だった。こんなところで熊さんに再会するとは。
羅臼岳を登り切ったのだった。
今日の大目的、大事業は達成された。
頂上では自分だけの、おにぎりを食べる。
美味かったこと!
■下山途中で
「もっとゆっくりして行ったらどうなのか?」
誰かがぼくに向かって言ったのではない。
また自分自身に向かって言っているのでもない。
リス君に向かってだ。
下山する途中で、実物のリスを二度ほど見た。
都会に住むこの人間にとっては自然の動物が珍しく新鮮に映った。
「どうしてそんなに素早く姿を消して行ってしまうのか!?」
行ってしまったリス君に向かってつい無言で言い放ってしまった。
聞こえなかったのだろうか?
自然界の動物観察もこうして自然界にある自分だからこそ、そういう気持ちになれるのだろう。身近にもっと自然と仲良くしよう、と。
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