家の中にプールがある、フィンランドの民家で   ヨーロッパひとり旅 ↑  
フィンランド・ノルウェー国境を越えた   
 
  海外へ無料で行く極秘マニュアル 
   
毎回、ドイツ語新聞記事を読む、楽しむ       フィンランド編  
 
No.10 ヘルシンキを出発、北へとヒッチハイクの旅が始まった
 
No.12 フィンランド、ヒッチハイクの旅が曲がりなりにも続く
 
No.13 ヒッチハイクが難しい、じゃあ「フィンランド徒歩の旅」に変更するか?
 
No.14 フィンランドの民家、その庭にテントを張った所に一泊となる
 No.15 Kärsämäki 
まで。日本の小旗を振りながらヒッチハイク
 
No.16 家の中にプールがある、フィンランドの民家で一泊招待される
  
ムーミン童話全集〈1〉/ムーミン谷の彗星    ムーミン童話全集
下村 隆一 (翻訳), トーベ・ヤンソン, Tove Jansson   
No.17 ■はじめてだった、ヨーロッパ(フィンランド編)ひとり旅■
 
  
 
 
   19xx年7月15日(月)小雨後曇り 
 
                      Rovaniemi 
→ Sodankylae
  
 その翌朝、体内時計がフィンランドでの朝の到来を知らせていたのか、寝袋の中では目覚めていたらしい。
            周囲が何となくざわめいているかのようであった。
             頭から被っていた寝袋から顔をのぞかして見ると雨、雨が降っている。紛れもない。
            風も吹いているようだ。木々の葉が湿っぽく揺れて雫も垂れている。軒下にいたので直接寝袋全体を濡らすことはなかったが、
            外側表面は朝露が付いたかのように湿っぽくなってしまっている。
             朝っぱらから雨だと出掛ける気が殺がれる。起き上がる気もしない。カラッと晴れ渡った空の下で旅を続けたい、
            息をしていたいという思いが常にあるから、こういう天候に身を晒していると生きる元気までもが殺がれてしまうかのようだ。
             ヘルシンキで体験したようなカラッと晴れ渡った空は何処へ行ってしまったのか? フィンランドではもう望めないのか。
                    
                        
                         
            午前7時半頃だっただろうか、近辺が人声で何となく騒々しいのに気が付いた。またも寝袋から顔だけをちょっと出して、
            騒がしさが聞こえてくる方向を眺めやると、今日は遠足に行く筈になっていたのだろうか、小学生の団体らしい、
            皆一人一人が思い思いの服装と色とりどりのリュックを例外なく背負っている。
                         
            誰か知らない人が一人こんな所で寝転がっているのを目敏く発見した子は仲間に告げに行ったようだ。
            暫くして数人がどたどたと見にやって来た。が、人が死んでいるのではないとでも分かったのか、直ぐに戻って行った。
                         
            女の先生に付き添われた子供達が建物横の入り口から中へと、風雨を避けるかのように、足早に次々と入って行く。
             こんな所にいつまでも寝転がっていると子供達の目障りになるのかも知れないと思えてきた。直ぐにも起き上がり、
            寝袋を畳んで見えない場所へと移動しようかとも考えたが、面倒臭い、寝袋の中に潜ったまま傍観していた。
                        
              
            暫くすると子供たち達の姿も消えた、辺り一帯にはまた元の静けさが戻ってきた。相変わらず静かに雨が降り続いている。
            風も吹いている。子供たちの目から見ても一人ぽつんと戸外に放り出されたかのような風景であったろう。寝袋の中、
            身動きもせず、時が来るのを辛抱強く待っているかのようでもあったろう。実は虚空をぼんやりと眺めていたに過ぎなかった。
                      
            この雨の中、出掛けようか、出掛けまいか。出掛けるといっても何処へと出掛けて行けるだろうか? 
            今日の行動予定を考えていた。
                        
            小雨降る中、街中へと出掛けて行くだけの大きな目安は一つあった。これから目指すNord Kappのことについて何か調べて置きたい。
            ヨーロッパ最北の果てと言われている場所だ。フィンランド国内、まだまだこれからもっと先の方へと移動することになると思われる。
            でも、そこへといつか行く着くことは確実だ。多分、
            数日中には辿り着くことになるだろう。
            
           Nord Kappとはどういう所なのか、どうやってそこまで行けるのか、色々と関連情報を得なければならない。 そう考えている自分だった。とにかく、情報が全然ない。多くのヨーロッパ人が行きたい所ということは分かっていたが、それだけ。 
          まだまだ不足している。Nord Kappのことが色々と想像され、まだ見たことも行ったこともないNord Kappが念頭を行ったり来たりしていた。 
         今日は雨降りの中、長距離を移動することもせずに、街中、旅行業者のオフィスへでも行ってNord Kappのことについて訊いてみよう。教えてもらおう。 
         これからの旅は目的地のNord Kappへと近づいて行くという旅になるだろう。 
         そんなことを思ったりしていながらも、時が無為に流れて行く。雨と風の戸外にいつまでも寝転がっている、
            そんな行き当たりばったり的な自分と付き合っていても埒が開かない。寝転がっていること自体が苦痛と感じ始める。いい加減飽きてくる。
            寝転がっている意味がもうなくなっている。もう潮時だ。起き上がれ。
            もう起き上がろう。
            
         昨晩は泊まれなかったが、今日は泊まれるだろう。YHで一泊し、気持ちも体勢も整えて、明日から Lapland ラップランド地方へと旅を続けることにしよう。そう自分に言い聞かせた。 
         午前9時20分、もう思う存分に寝転がったと悟って、起き上がることにした。どんよりとした空気の中、 心までどんよりと垂れ込めてしまっているかのようだ。何とかしたい。何とかできないものか。 
          ヒロの姿を見つけて、守衛らしいおっさんが話し掛けてきた。辞書を片手に持って、若干話す。トイレのドアを開けてくれた。 雨混じりの風が顔面を摩りとても冷たい。 
          フィンランドの夏は既に終わってしまったのか。 
                    
             
            昼前には雨も止んできた。とにかく、今日は行けるところまで行こう。野宿を避けて、YHに泊まることにしよう。 Nord 
            Kappについての情報を得ると同時に、、新たな旅の出発準備をしよう。明日になれば晴れ上がった空になるかも知れない。
            期待しよう。今ままではフィンランド国内をいわば必死になってヒッチハイクしてきた自分、そんな自分に対する骨休めのつもりで、また自分を見直す、
            点検しなおす、そんな意味合いを込めてYHでは寛ごう。
             
                         
             
                         
             
             
            日本向けに絵葉書を書いて送った。  19xx年07月16日 Sodankylae、Finland 
            幸運の女神が微笑みかけてきてくれたに違いない。女性ドライバーに二度も拾われ、思いがけずも一気に、と言っても二日掛かったが、
            ここSodankylaeまで来れた。 
             
            ここ数日、曇りがちで雨模様の日々が続き、少々憂鬱であった。一時は諦めていた北の岬 Nord 
            Kapp にも行けそうだ。いや、絶対に行く!   
             
            物価が高く、行く先々での出費が重なる。金の掛かる旅になってしまっているが、それもいたしかたない。 
            
             
            Kaersamaeki→Oulu→Kemi→Rovaniemi→Sodankylae!! 
            
             
            ここのYHで思いがけずまたまた、あのフランス人の若者に出会った。今夜は大部屋でホステラー全員、皆一緒に寝ることになるようだ。
            ヒロ一人を除いて、あとはフランス人
            4,5人だけのようだ。浴室では裸での
            国際親善お湯掛け合戦が行われた。お互いに湯水の引っ掛けごっごをして戯れ、まるで童心に帰ったようだ。
            一人旅を続けてきていた自分のことを暫し忘れることが出来た。 
                   
            明日こそ、晴れ渡った空の下を旅したいものだ。  
              
            
            SodankylaeのYHでは連続二泊するという贅沢を自分に与えてしまった。 
                 
      
      
     
        
 
  
 
 No.9  市内、フィンランド航空のスチュアデスさんに話し掛けれ、自宅に招待される