「さあ、子供たち、お父さんはもういないのよ」 オーストリアからのメール 「ドイツ国文盲人口 ほぼ4百万人」    

 

"オーストリア語" について         

                   「オーストリア語」の個人体験的・実践小研究

 

 

毎日、ポストに配達されてくる地元の日刊紙(といっても”日曜版”とやらはないようですが、、)、その求職ページを覗いてみると、「オーストリア語(?)」を目にします。幾つかの例をご紹介しましょう。

「オーストリア語」単語の書き方、綴り方、所謂 Orthografie または Rechtschreibung(正語法 )

 



書き方、その1

Leiterin/Leiter  

女性名詞が先、男性名詞は後? そう書くことで女性が優先される? 実は女性を必要としている?

 

書き方、その2

Leiter(in)  

男性名詞と女性名詞を合体させた形(カッコ内は、女性名詞用の語尾)

 

書き方、その3

LeiterIn  

男性名詞と女性名詞を更に合体させたような書き方。カッコが省略されている。良く見ると、女性名詞用の語尾の最初の文字がi大文字Iになっている。

 

 

さて、他の職種を見てみましょう。

 Verkäufer(innen)  

男性名詞(カッコ内は、女性名詞の”複数形”語尾)。男性名詞の複数形は単数形と同じ。


 Ausendienstmitarbeiter/-in  

男性名詞が先、女性名詞は後。斜線の後ろには、女性名詞用の語尾

 

MitarbeiterInnen  

男性・女性、複数人数を募集しているらしい、ということが分かる。でも実際は男性だけかも、それとも女性だけかも、それとも男女両性含めての募集かもしれない。詳しくは企業側に尋ねてみることで分かるでしょう。

 

MitarbeiterIn    

男性・女性、どちらか一人だけを募集しているらしい、ということが分かる。
 

VertriebsberaterIn  

男女どちらか一人だけの募集

 

Spezialisten/in    

これも男女どちらか一人だけを募集

 

Speditionskaufleute (m/w)  

mと記すことで男性を、wと記すことで女性を表している。複数の募集。

 

PsychologInnen  

男性・女性の両性を複数、募集しているらしい。




 種明かしを致しましょうか。求人募集をする企業側では、求人者に対しては「男女平等取り扱い」ということが法律的に決められているそうです。だから、企業側としては女性だけを募集したいとしても、あたかも男性も募集しているかのごとく、 つまり男性・女性求職者の両者に向って募集しているかのように広告を出さなければならないことになっているようです。広告上で、男性だけを募集したり、女性だけを募集するのは法律的に罰則の対象になるそうです。

これは純然たる「オーストリア語」の問題というよりも、政治が関わっていますね。

確かに、ドイツ語を学んで気付くことは―――英語やその他のヨーロッパ語でもそうですが―――性別を意識した単語が備わっているということ。ちょっとだけ復習してみましょうか。

Der Lehrer fragte mich meine Namen.
   そのオトコの先生はぼくの名前を訊いた。

Die Lehrerin fragte mich nach meinem Namen.
  そのオンナの先生はぼくの名前を訊いた。

 

「先生はぼくの名前を訊いた」を独訳しなさい、という問題が出てきたら、その先生はオトコなのかオンナなのかを決めて貰わないと、実際、正確には独訳できませんね。尤も、そんなヘンな独訳問題を出すのも可笑しいと思いますが、、、。

男性か、女性か、また複数か、単数か。ドイツ語等の外国語を学び始めると直面する課題ですね。本国人はそんなところをいわば本能的に処理してしまうのでしょうが、外国人のわたしは一々気を張っていないと聞き逃したり、見落としたり、読み落としたりしてしま うのです、いつも。

 

どのように書くか。男性・女性の両性に向けて発信するときには、両性を別々に並べるように書くか、両性を合体させるかのようにして書くか。後者を選択するのはスタイルの好みもあるかもしれませんが、新聞等ではスペース節約の意味もあるようですね。とにかく、オーストリア国では両性を(求人募集広告では)併記しないと罰金だそうですよ。

オーストリアの労働市場はまた、お隣のドイツもそうですが、大きな政治、社会、経済、文化等の問題となっていますが、この点についてはまたの機会に触れることにしましょう。

 

 

オーストリアには「Österreichisches Wörterbuch」という分厚い「”オーストリア語”辞書」があります。オーストリアでは小学校に通う様になると、この「”オーストリア語”辞書」が生徒たち一人一人の手に渡されることになるようです。 つまり、小学校から母国語の「オーストリア語」に馴染めるように、ちゃんと書けるようにツールは備わっています。日本ではどうだろうかな、とつい比較してしまいますが、日本の小学校で「日本語国語辞書」を手渡された記憶は全然ありません。おおきくなってから一般書店で親に買って貰ったような気がします。

オーストリアの子供たちは「オーストリア語」の読み書きを小さいうちから否応にも習得して行くことになります。

 

 

オーストリアでしか通用しない「オーストリア語」の単語を幾つか、例として挙げましょうか。

ドイツで Brötchen と言うものが、                                                           オーストリアでは Semmel ということは既にご紹介しました

日本語から「オーストリア語」になったらしいのが、Sayonara それと Banzai。     そういえば、Sushi もそうですね。

ドイツ語で ein bißchen と学びましたが、オーストリア語では ein bisserl

 

ドイツ語 オーストリア語
dieses Jahr heuer
Januar Jänner
Kartoffel Erdapfel
Ich bin betrunken. I bin fett.
Ärger Gfrett
Es ist dämmrig. Es is dumpa.
Mädchen Mädel
nichts nix
Kuss Busserl
den ganzen Tag untertags
Tomate Paradeiser
ein bißchen ein bisserl
Brötchen Semmel
? Schanigarten
gut guart
Schmeck  einmal! Schmeck amol!
Karnival Fasching
ich i
Rente Pension
Bundeswehr Bundesheer
10g Deka
Wissenschaftler Wissenschafter

オーストリアでは左側のドイツ語が全然使用されないということではありませんので、お含み置きください。

オーストリア ドイツ語  ここ以外のどこかへ!;旅の指さし会話帳 48

 

 

オーストリア語 (オーストリアの方言)、ちょっとした早口ことばのようでもあります。

 Wonn i kemma ko, kimm i, i wia owa koam kemma kinna.

  ドイツ語翻訳 

Wenn ich kommen kann, komme ich, ich werde aber kaum kommen können.
 
英語翻訳 If I can come, I will come, but I will hardly be able to come.

   日本語翻訳   来れれば来ます、でも殆ど来れないでしょう。

 

 

 

 

 

 

さて、閑話休題。

敢えて「ドイツ語」を意識的に脇に寄せて「オーストリア語」だ、「オーストリア語」だ、とちょっと騒いで来ましたが、実は「ドイツ語」についても同じようなことが言えるわけですよね。bayrisch という方言があります。sächischという方言、hessisch という方言等々があります。オーストリアでも衛星放送を通じてドイツからのテレビ番組を受信できますが、所謂お笑い寄席番組に当たるKabarett が週末、夜遅くに見ることができますが、お笑いに参加しようとチャンネルを合わせ耳を澄ませて聞き取ろうとするのですが、冗談が冗談として聞き取れない。こっちとらは殆ど分からんということに気付かされるのです。ドイツのバイエルン地方からの当該放送はbayrisch方言丸出しということで外国人のわたしは全然わっかりませ〜ん。

またスイスの東部地方(例えば、ツーリッヒ市)でも「ドイツ語」が喋られていると言われますが、スイス的ドイツ語、だから「スイス語」schweizerisch と言っても良いかと思います。ドイツ語の一種がスイスでも喋られていますというとスイス人が黙っていないかもしれません。スイスの人たちは「スイス語」を喋っています。これもドイツ語方言と言えないこともないかも知れませんが、、、、。

   元に戻って、づづきを読む

この小研究はこれからも少しずつ続きます。

 

「さあ、子供たち、お父さんはもういないのよ   オーストリアからのメール   ドイツ国の文盲人口 ほぼ4百万人 毎日一回、ドイツ語新聞記事を読む楽しむ  

オーストリア人百人一周    どちらさまもどいつごもどうぞ