海外へ無料で行く極秘マニュアル
毎回、ドイツ語新聞記事を読む、楽しむ
スウェーデン編
No.22」スカンディナビア半島、ノルウェー海岸線を南下する
No.24」日曜日、スウェーデン語を早急に喋れるようになろうと意思する
No.25」 何? 老夫婦はこの日本人を養子に迎える積りだって!?
No.27−1」スウェーデンはもう9月! 濃霧の中、朝の出勤、自転車でゆっくりゆっくり
No.27ー2」スウェーデンの女の子たちとスウェーデン語で話せた!
No.29 」ノルウェー娘がまたやって来た! えっ、18才なの!?
海外へ無料で行
ける極秘マニュアル
No.39
」
レストランでの仕事が出来る日は今となっては、土曜日と日曜日だけ。
No.41」Festに参加。真夜中の道、一人で歩いて帰った。
No.45」食事室で英文学を読む
No.48 スウェーデンに住んだ |
スウェーデン居住ビザ取得申請へと動く ヨーロッパ一人旅↑ 電話べルが鳴っている
No.35 ■はじめてだった、ヨーロッパ(スウェーデン編)ひとり旅■ 19xx年10月 04日(金)初雪、後曇り 久しぶりに日本宛へ、絵葉書を送った。
19xx年10月04日(金)
Ås, Östersund
初雪!
突然、何の前触れもなく冬が押し寄せてきた。 樹木は黄色、季節は秋だった。 ぼくも当地で冬越しをする。
(Östersund市立図書館にて)
19xx年9月19日(木)の続きを書こう。19xx年9月19日(木)はこちら
ヒロは洗い物を続行した。洗い物をしながらも心は上の空。アンネリーからの「ダンスへの招待」について緊急に考えざるを得ない。結論を早く出さなければならない。
まだ一度も口を利いたこともない彼女。そう、名前はアンネリー。燃えるような金髪。ヒロは彼女に関心があるのか。いや、彼女はヒロに関心があるのか。彼女と二人きりで話せる機会がいつかは得られることを望んでいたのではなかったか。
同じ職場でのこと、二人きりにならなくてもいつかは彼女と言葉が交わせることを夢見ていたのではなかったか。
チャンス! このチャンスを逃したら、今度は何時のことになるか予想がつかない。数日後にはこの仕事から離れなければならないことになっている。仕事から離れてしまえば、当然ながら彼女に会
うことも殆ど不可能となってしまうだろう。このチャンスを捉えろ!
ヒロの半分、片側は招待を喜んで受けて、承諾して、彼女達と一緒にダンスに行くべきだと告げている。が、一方、もう一つの半分、その片側は行くべきかどうか、この点について
大いに迷っている。
ダンスに行くとは何を意味するのか。明らかだ。ヒロがダンスをするだろうということだ。ところで、ヒロはダンスが出来るのか?実はヒロはダンスが出来ない。少なくともパートナーをうまくリードするようなダンスは出来ない。
「私はダンスに行きませんので、残念ながら今晩、一緒に行けません」
こんな風にアンネリーに言うつもりなのだろうか。 ダンスのことは何も
聞かなかったということにして、仕事を終え帰る時間が来たら一分も無駄にすることなく、直ぐにレストランから姿を消してしまおうか。
Nej! Nej! そんなことは出来ない。
別の観点から考えてみる必要があるようだ。ヒロはスウェーデンという外国に来ている。外国にやって来た動機は何処にあったのか。新たな体験を出来るだけ多く吸収する。その過程
を正に自分は今生きている、人生を楽しんでいるという実感をヒロにもたらしてくれる。外国に来たからには日本にいた時とは違った人生をもっと積極的に受け入れ求めてゆくべきだ。
ダンス。外国へ来てのダンスか。日本では想像も出来ないことであった。が、今、外国にあって、正に新たな体験もそこにはある。外国映画の中で見るダンスの場面。ヒロにとっては軽い関心の対象でしかなかった。勿論、
ヒロは外国映画を想起していたわけではなかった。スウェーデンでのダンス風景はどのようなものであろう。ヒロの関心は一種の傍観者のそれであった。 傍観者ではなく当事者となれ!
「ダンス風景がどのように展開されるのか、仔細に観察して、それを物語として書いてみたら?」
ダンス行きに渋っていると見て取ったモッドはヒロにそう
忠言する。彼女はヒロの頭の中が読めるのか。ヒロもちょうど同じようなことを考えていた。
ダンスに行こう。ダンスが出来なくとも良い。その時はどうするか。ヒロ自身さえもが観察の対象として観察出来るではないか。それに、まだダンスは始まってはいない。今晩、7時からと言っていたようだけれども、そうするとあと数時間。
そろそろ今日も仕事を終える時刻が迫ってきている。ダンスに行くならばアンネリーにその旨を伝えなければならない。彼女は今、持ち場で働いている。しかし仕事の手を休めて、彼女のいる場所まで出向いて告げる、そんな自分がなぜか厭わしく思われた。彼女からの
ヒロに宛てた意向打診から既に数時間が経ってしまっているように思われた。
こんな簡単な事柄なのに、行くか、行かないか、その態度決定にこんなに何時間も必要なのかしら? 彼女、アンネリーは
不思議がっているに違いない。
「女性からの申し込み、招待を受けないことは無礼ですか?」
ヒロはモッドをつかまえて聞いてみた。答えが知りたかった訳ではなかった。今晩、アンネリー達と一緒にダンスに行くであろう自分の意志を確かなものにさせようとしたかっただけである。
「勿論、そうよ!」
ヒロの態度は確実に決まった。招待を受けよう。今晩、ヒロはダンスに行く。
ヒロの背後から誰かがやって来た。彼女、アンネリーだ、と直感出来た。まるでヒロの決定を知りたくてやってきたかのようだ。綺麗に洗い終わった食器類を取りに来たのである。
ヒロは振り返った。
「今晩、何処で落ち合いましょうか?」
アンネリーに向かって発した、初めての言葉、スウェーデン語であった。
アンネリーはヒロの理解し兼ねる早さで答えてくれた。理解出来た、と思った。そんな気がした。が、実は全然理解出来ていない。ああ、どうして分からないのだろう
? 自分に対する失望、いや絶望に近い。
彼女が喋るスウェーデン語の心地良い響きに聞き惚れてしまったかのように,彼女の方に片耳を傾けたまま黙りこくってしまっていた。彼女が今喋った言葉を思い返し、思い出そうとして、最初から理解しようと自己を集中させ
、おさらいをしていた。
が、一度で理解出来なかったものはいくら遅れ馳せながら集中しても理解出来ないものは出来ない、想像するだけであった。彼女はそんなヒロの様子を見て取って理解した。
「彼女に話して、あなたに伝えてもらうことにするわ」
彼女とはモッド、我が仕事仲間、相棒のことである。アンネリーは食器を持って、自分の持ち場へと戻って行った。
程なくモッドが入れ替わりやって来て、
ヒロに段取りを教えてくれた。が、その時は理解出来たように思えても、よくよく考えてみると漠然としているのであった。これは行きたくはないという自分の片側が欲している証拠だろうか。
アンネリーの家に皆んな集まってねえ、それから車でダンスが行われる「OK(オーケー)」まで行くのよ。オーケー? オーケー! アンネリーだけでなく、他にも数人が同行するそうよ。分かった?
しかし、、、、、何時に行くのか。正確な時刻、何時に集まることになるのか?
アンネリーの家ってどこにあるのだろう?
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